1キロあたり8ベクレルのガレキは、本当に安全ですか? 

 11月15日、核のごみについて考えるある学習会に参加した。それまでたくさんのデータを駆使して原発政策を鋭く批判されていた講師S氏が、途中で実は大阪市職員であることが判明し、当然大阪市のガレキ問題についての質問を受けることになった。

 そのときS氏は「大阪市が受け入れるガレキは、1キロあたり8ベクレルで安全である。」とおっしゃったのである。本当にそれは安全と云える数字なのか。調べなくても36000トンのガレキを燃やすとなると、8×1000×36000=288000000ベクレルという億単位の総量になるのは、単純計算で誰でも分かる。

 数字と専門用語に弱い私は、「でも、こんなによくお勉強しておられる方が安全というから安全なのだろう」と思いたいところだが、大阪市のごみ焼却場がある舞洲から10キロにある私の家に、乳呑児やと幼児、授乳中の母親やその夫たちの世代が出入りしているので、「安全」ということばを鵜呑みにはできなかった。最も細胞分裂の活発な幼い人たち、そしてすべての生き物に、どのようなことが起きようとしているのか?

 1ベクレルとは、1秒間に1本の放射線が出て、DNAを傷つけるということだ。

チェルノブイリの事故後のウクライナでは、飲料水の安全基準は、2ベクレルと定め、福島原発事故後の日本の飲料水の安全基準は10ベクレルだという。

 「日本人の命や健康を護る基準・命や健康が大切にされている度合いがウクライナの5分の1か?!」と初めてこれを知ったとき、とても暗い気持ちになったことを思い出した。

  1キロについて8ベクレルというのは、1秒に出た放射線なので、1日あたりに換算すると、その60×60×24で、1日で、691200ベクレル。691200本の放射線が1キロのガレキから出ることになる。今回の試験焼却では100トン燃やされたので、その1000×100倍つまり69120000000本の放射線が1日に出る威力があったということであろう。その放射線がほぼ1年間毎日出続ける(36000tなので100tの360倍の量になる。)ので、24883200000000ベクレル。10兆単位である!!それが「安全だ」とS氏は平然とおっしゃったのだ。

 もちろん距離や風向きもあることだし、これらを同じ人がすべて体内に吸引するわけではないが、「1キロ8ベクレルだから安全だ」というS氏のご意見は、看過できない数のマジックだということだけは、しっかり心にとめておきたい。

 その上<瓦礫の運搬費に43億瓦礫を燃やす大阪市に3億>という大金が動くことも聞いている。それは、福島で原発事故の被害にあい避難され、今も不自由な生活を強いられている方々や、福島の地元を復興させるために使わなければならないお金ではないのか。何故その大事な予算を、ガレキを運び燃やすことに流用しようとされているのだろうか。<痛みわけ>という美名のもとに行われる復興予算の横取りという恥ずかしいことを、許してはいけない。

 「福島では、大量の瓦礫焼却が行われ、もっと高い線量下で人々は生活している。」とS氏は更におっしゃったが、<瓦礫を活かす森の長城プロジェクト>という、これからの東北を津波から護る防波堤としてガレキを活かす壮大な計画がある。何も復興予算を反対を押し切って無駄遣いしなくても、東北でも大阪でもガレキを燃やさず、安全なかたちで復興に役立てる道があると思うのだが。

 

 数字と専門用語に弱い素人 が、必死で考えたことで、間違いがあればご指摘ご教示ください。