五感に聴く

 15年以上整体協会でお世話になっている。といっても私の場合、最近は月1回20分間の操法を受け、からだを調整していただくだけになっている。野口晴哉先生の著書を熱心に読んでいるわけでもなく、活元運動の会に出席しているわけでもない。私は一番なまけものの会員に違いない。だが、そのお陰かどうかは分からないが、有難いことに近年、病気になって病院に行くということはない。

 定年後の話である。人生の春夏秋までくぐり抜け、あとのしめくくりの季節がこの先どれだけあるかはわからないが、毎日が一粒ずつの宝石のように貴重であることは確かである。自分を誤魔化して生きることだけはしたくない。どんなに楽しそうにみえても気が進まないことは無理にしない。逆に、人からみると大変そうなことでも、心からしたいと思うことはすすんでする。

 最初から苦手な人は勿論、デリカシーの尺度が違いすぎるなど、私の五感に頭痛やストレスやトラブルの種を撒く人、そばに立つだけでお腹が痛くなる人とは、義理や惰性でつきあわない。対人関係のトラブルは、一人で起きて一人で完結するわけではないので、距離をおくのも礼儀の一つと思っている。逆にどんなに遠くに居る人でも、前向きで純粋なエネルギーや真心を感じることのできる人には、臆さず自分から積極的に働きかける・・・。

 このように五感のサインに正直に動けるのは、リタイア組の特権である。仕事をしているとき、このようなわがままが許されるはずがなかった。本当は、どんなタイプの人とでもそれぞれの良さを理解し、無理なくつきあえるところまで成熟して一生を終わりたいたいと願っている。ただ、その「こうありたい理想の人間像」でないからといって焦ったり自分を責めたりしないことにしただけの話である。

 今ガレキ焼却や中国から飛来するAM2.5などで大気は汚染され、安心して生活できる状況ではないようだが、様々な情報に右顧左眄せず、自分の五感と相談しながら選択していきたい。