3.11神戸からの祈り

 東日本大震災から今日でちょうど2年目を迎えた。今日の夕方行われた東日本大震災記念行事<3.11神戸からの祈り>について、前回のブログでお知らせしたところ、何組かの友人が三宮まで足を運んでくださった。路上イベントに、はるばるお越しいただき、寒いなか温かく見守っていただき、恐縮しながらも有難いことであった♪ 

 ゴスペルの合唱団で鍛えておられる咲野花(さやか)さんの声量のある歌声に合わせた「花は咲く」斉唱、福島県伊達市から兵庫県に避難されている<あとりえとおの>渡辺智教さんのライヴペインティングとお話、風も止み美しく<3.11>の形に灯されたキャンドルサービス・・・。それぞれが輝く一こまひとこまであった。

 

 東北と神戸の震災を軸とした交流は、<闇の底から立ち上がろうとしている者と、立ち上がろうとした者たちの交流>である。闇の濃さ深さの違いは厳然としてあり、東北の復興は遅々として進まず、すぐに光をみることは困難な状況であろう。我々にできることは微力であるが、この日は花や歌やろうそくの灯に囲まれ、祈りの心を一つに合わせて送ろうとしていた。道行く人たちも足を止め、写真を撮り、想いを共有しようとしてくださった。

 

 わたしは拙い詩の朗読のなかで、「風を食べ/太陽を吸い込み/ホモ・サピエンスとして新しく生まれ変わる」未来を詠った。とりあえずコンクリートでその場を塗り固めるのでなく、地球の命や地球上の生き物の命を損なうことのない長期的展望をもった復興を希う。

 私の詩の朗読と音楽とのコラボレーションはプログラム1番で、「前触れもなく突然詩の朗読を始め、その場の空気を一変させてください!」と本番直前に高難度の注文をされた。それは不器用な私の力及ぶ役所ではないが、なんとか前座を終えた。

 朗読させていただいた詩は、以下の通りです。

 

 

<祈り> 

  ~バッハ~無伴奏チェロ組曲・第5番 サラバンドにのせて~

                               望月 逸子

 

あの原発事故の日から 一度も開かれていない窓の内側より

あなたが呟きの礫を投げていたとき

わたしの心は音楽を失っていた

 

つぎつぎと遺体が打ち寄せられる 白波が立つ浜辺に

どうしても毎日足が向いてしまうと

あなたの便りが告げてきたとき

わたしの瞳は光を失くしていた

 

18年前の神戸の街には

潰えた建物を建て直すための

更地があった

 

家の下敷きになった幼子を葬るための

小さな棺は

順番を待てば届いた

 

そんな酷いことさえ《せめてもの幸い》と呼ばねばならない日常が

あの日 いきなり押し寄せてくることなど

誰も想像することができなかった

 

 

死者    15880人

行方不明者  2694人

避難者  321433人

 

 

家々の黒光りする柱に馴染んでいた

無数の日めくりは

2011年3月11日のまま

今も海原を漂いつづける

 

 

わたしは神戸の街で捜した

失った音楽と

無くした光と

それらを身にまとう人々を

 

空も海も 小さな列島を巡りつながっている

 

出口も羅針盤もない箱舟に乗り込み

この水惑星の命を傷つけながら

漂流をつづけるのは 

もうやめよう

 

すでにたくさんの人たちが箱舟から降り

桟橋を渡っている

 

風を食べ

太陽を吸い込むために

新しい ホモ・サピエンスとして生まれかわるために

 

さあ鎮魂の歌と祈りを捧げよう

 

喪った大切なもののために

闇の中でこそ出会えた

光のために

 

 

     最後にこの場をお借りまして、心からご来場の御礼を申し上げます。

 

 

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コメント: 6
  • #1

    畦布 久隆 (水曜日, 13 3月 2013 06:14)

     素敵な詩を有難うございます。当日は、参加できませんでしたが、復興を願う気持ちは同じです。
     
     地球を壊しているのは人間ですが、地球を救えるのも人間です。壊す輩に対峙して現在と未来のホモエンスを守りましょう!

  • #2

    望月 逸子 (水曜日, 13 3月 2013 21:21)

     ご投稿有難うございます。そうですね。人類の叡智を信じ、この星を守りたいと思います。これからもときどき吟遊詩人社にお越しくださいませ。

  • #3

    ミセス<K> (水曜日, 13 3月 2013 21:48)

     一昨日は寒い中お疲れ様でした!神戸からの祈りが被災地に届くことを切に願っています。CDは仕事に向う車の中で、ブログは休む前のひととき、居ずまいを正して聞き、読ませていただいています。
     一瞬のうちに命が奪われた方々の無念、愛する人を何の心の準備もできてないまま失ってしまった方々の悲しみの深さに項垂れるばかりです。
     さやかさんの歌声や望月さんの詩の朗読やブログに、私も癒され励まされています。お二人のすばらしい賜物には感動を覚えます。私には想像を巡らせる以外何の力もありませんが、これからもブログを訪問して、共感し、力をいただきたいと思っています。
     特に原発事故という人的災害には怒りを禁じ得ません。私たち夫婦も怒れる大海の一滴でありたいと、東京でのデモや集会にも可能なかぎり参加してきました。今の状況に少し元気をなくしかけていましたが、またできることを探したいと思っています。・・・忙しい日々を送っていますが、時間を見つけて集会等には出かけて行きたいと思います。
     つい長々と書いてしまいました。ごめんなさい!またお目にかかれる日を楽しみにしています。(携帯にいただいたメールをご本人の了解を頂き、こちらに掲載させていただきました。)

  • #4

    望月 逸子 (水曜日, 13 3月 2013 22:47)

     お忙しいなかご丁寧なお便り恐縮です。Kさんのお心がまっすぐ伝わり、涙が流れました。こんな素晴らしい読者がいてくださることがわかりましたので、こちらこそ居ずまいを正して今後もブログに発信させていただきます。どうかご自愛くださいませ。

  • #5

    kyoko (木曜日, 11 4月 2013 07:24)

    希望が湧いてくる力強い詩ですね。引越し作業でしばらくブログとごぶさたでした。しっかりご活躍うれしいです。古いパソコンがついに使えなくなったので、すみませんが1度そちらからのメールをお願いします。

  • #6

    ginyusijinsya (木曜日, 02 5月 2013 14:05)

    こんにちは!ごめんなさい!わたしもブログを開く間のない生活をしておりました。お引越しは無事終わりましたか?お疲れでませんよう。新しい土地でのニュースを落ち着いたら聞かせてください。お元気で!