朝食後の皿洗いをしていると、海の上に白い鳥の群れが見えた。急いでベランダに出ると、紛れもなくそれはユリカモメの一群であった。いつもは鳴き声で彼らの帰還に気づくのであるが、よほど疲れているのであろう。鳴き声もたてず海面に次々飛来し、身を寄せ合って浮かび始めた。波間に白い雪が積もっているように身動きもしないで浮いている。
秋の彼岸前から春の彼岸ごろまで、1年の半分を彼らの姿をみて27年間ほど暮らしてきた。ここが彼らの豊富な漁場あることは確かだと思うが、一体何を目印にしてどのような意志のもとに、遠いカムチャッカ半島からこの小さな湾を選んで毎年やって来てくれるのだろう。彼らが無事に帰って来てくれたことに「ありがとう!」と何度も呟き合掌した。涙が 滲む。
毎年彼らとの再会は心躍る出来事ではあるが、領土問題も国旗も背負っていない純白の命の群れが、今朝ほど清々しく感じられたことはなかった。
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ヤジロベー (火曜日, 18 9月 2012 20:54)
残暑そのものの日々が続いていますが、確実に季節はめぐっているんですね。 虫の声とともに生き物のいぶきを感じます。
近しい人を先週、静かに見送りました。優しかった日々に「ありがとうございました」を添えて・・・
<今> を生きることの大切さをかみしめつつ、お体大切に・・・