尼養祭 命の詩

 11月17日(土)西宮市田近野町にある尼崎養護学校の生活発表会を訪れた。小中高とすべての演技を観せていただいた。尼崎養護学校は、肢体不自由の特別支援学校である。車椅子で生活している児童生徒の割合が高い。

 劇のなかでは、一人ひとりが今取り組んでいる課題がうまくストーリーに生かされ、音楽を効果的に使っていた。歌うことができる子は、小学部低学年にはいなかったと思うのだが、劇中で流れる歌が子どもたちの肌にしっくり馴染んでいた。舞台から離れて座っていてもそれは伝わる。きっと日々先生たちが歌いながら子どもたちに接しておられるのだろう。そうして生活の中で歌われている曲が、今回のステージでも使われていたのだと思う。

 

 小学部低学年の劇「尼養ぐらしのアマエッティ」では、みんな色とりどりのきれいな小人の衣装を着て登場した。たとえばボールをつかんで転がすという上肢や手指の課題をもっている子どものためには、長い滑り台のような木琴を作り、ボールをつかんで転がしたら美しい音がでる仕掛けがしてあった。

 その木琴滑り台の上を球が転がる音がいつまでも心に響いていて、次の日目覚めたときもコロンコロコロと気持ちの良い音を反芻することができた。

 大きなスイッチボタンを押すと巨大な花が咲く仕掛けや、華やかに電飾が点灯する仕掛けなど、どの舞台にもミラクルを現出させる仕掛けが惜しみなく仕組まれている。

 舞台に花が咲く瞬間など観客は盛大に拍手をする。

 <腕を動かすこと> <ボールをつかむこと>がどんなに凄いことかあらためて教えてもらった。 一人ひとりの<命が輝く瞬間>を拡大して分かりやすく伝え、それをみんなで祝福するようなステージであった。

 特別支援教育のしごとを38年間させて頂くなかで、素敵な子どもたちやお母さんたちに出会えたこと、そして今音楽とコラボさせた詩を 創作していること、どちらも「命」というキーワードでつながっていたのだ!!命には始まりと終わりがある。そのすべてに寄り添い、祈り、輝く瞬間をとらえるしごとという意味では、つながっている。 

 今まで出会えた たくさんの耀く命に感謝。