阪神大震災18年目に

 この吟遊詩人社のブログが本格的に始まったのは、昨年の1月17日であった。今日で当ブログは満1歳になる。人間の子どもであれば、危なっかしいながらも二足歩行が始まり、視界が広がる転機。見るもの聞くものすべてが新しく、両手が自由になるので何でも手に取り口に入れて確かめる。私はそこまで純粋に好奇心の塊にはなれなかったが、出会ったものや感じたことを表現する場があったことはとても有難かった。 

 

 今年の1.17は、神戸の被災地協働センターで「禁じられた大地・フクシマ」というドキュメント映画の試写会に参加した。福島原発事故後、家族だけでなく命の磁場である故郷を喪い、ごく当たり前の日常生活を失った人たちの哀しみや、やりきれなさが、日が経つにつれより重く伝わってくる。

 フクシマの人々が失ったのは建物のように自分のからだの外にあるものだけでなく、おいしい空気を胸いっぱい吸い込み、湧き水をごくごく飲み、丹精こめて育てた花や作物や家畜を愛で・・・自分の五感を働かせる生命活動そのものでもある。人が幸せを感じる瞬間とは、このようなささやかな営みのひとこまひとこまではないだろうか。 

 私の詩と音楽のコラボレーションも五感を介さないと成立しない。フクシマの危機が、明日の吟遊詩人の危機として迫っていたのは、それが一番大きな要因かもしれない。

 

この栗本一紀監督の最新作「禁じられた大地・フクシマ」は、

栗本監督をお招きして

2013年1月21日(月)18:30~21:00

JR新長田 神戸映画資料館で

「第五回 ずっと・こころ・つなぐ基金 上映会&トークサロン」

主催 特別非営利活動邦人しみん基金・KOBE

参加費1500円

 

というかたちで 上映され、

栗本監督にフクシマの現状について語っていただけるそうだ。

是非観ていただきたい作品である。

申し込み TEL 078-230-9774 FAX 078-230-9786

2013年 1月18日まで