この道をゆこう~ゴスペルチャリティーコンサート

 東日本大震災復興支援のゴスペルコンサートに初めて参加した。会場は元町の栄光教会。阪神淡路大震災の3年後に結成された<神戸マス・クワイア>と、福島県会津若松市の<会津マスクワイア><会津子どもクワイア>のジョイントコンサートである。

 黒人の公民権運動のなかで歌い継がれてきたポピュラー音楽だけに、歌そのものに力と魂がこもっている。とりわけ今回は、1・17を体験しそこから立ち上がった歌声と、今まさに福島原発事故後の放射能の恐怖に晒されながら、歌で心を繋いでこられた会津の人たちの歌声が響きあう場である。最前列の席に座らせていただき、最初は驚くべき衝撃を受けた。全員がステージに立って歌うオープニングや、トップバッターの<神戸マス・クワイア>の演目の間中、恥ずかしいことに零れ流れる涙を止めることができなかった。わたしのどこかの栓のパッキンが劣化しているのかとも思ったのだが、それだけ一人ひとりの想いのこもった歌声の力が強烈だったということなのだろう。

 どんなに酷い差別の下にあっても、アメリカの黒人たちが<生きる喜び>や<生きる希望>を失わず歌ってきた歌そのものがもつエネルギーと、歌いながら困難な状況を乗り越えてこられた方たちの今を生きるエネルギーを最前列で浴びたのだから、大変な力が加わったはずだ。

 皆さんの志の高さは、自ずと音楽的クォリティーも研ぎ澄ましている。小さなからだ全身を動かして歌ってくれた小学一年生を含む<子どもクワイア>の皆さん、ソロを歌ってくれた高校生のシンガー、音楽が魂とからだに宿っている歴の長い堂々とした大人の聖歌隊の皆さん。<3・11神戸からの祈り>のイベントでキーボードーを弾いて謳ってくださった佐々木咲野加さんをはじめとするバンド担当のみなさん・・・。本当に有難うございました。

 今コンサート会場で手に入れた<会津子どもクワイア>の世話人で会津放射能情報センター代表、4人のお子さんのお母さんでもある片岡輝美さんの著書「今いのちを守る」(日本キリスト教団出版局 \800)を読んでいる。詳しくは改めて紹介させて頂くが、ステージの上で輝いていた会津の子どもたち 大人たち一人ひとりが、3・11以降くぐってこられた道の一端を知ることになるだろう。